循環器疾患

循環器とは

循環器疾患

循環器とは、生命を維持するのに欠かせない血液を循環させる器官のことで、心臓、血管などを総称した呼び名です。
胸が痛い、息苦しい、動悸がある、不整脈かも、いびきがうるさいなどの症状に心当たりがありましたら、お気軽に受診ください。

こんな症状はご相談ください

  • 血圧が高い
  • 強い胸痛を覚える
  • 胸に締めつけられるような違和感を覚える
  • 歩行・運動時に胸が苦しくなり、休むと楽になる
  • 動悸がする
  • 脈が乱れる、飛ぶ
  • 息苦しくなる(特に横になったとき)
  • 失神した(意識を失った)
  • 心電図や胸部X線検査で異常を指摘された
  • いびきがうるさいと指摘された など

よくみられる循環器疾患

循環器疾患
心筋梗塞、狭心症、高血圧、不整脈、心房細動、静脈血栓症、脳卒中、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群 など

狭心症とは

狭心症 心臓の栄養血管である冠動脈が、何かの原因で狭くなると、心筋に送り込まれる血液が不足し、心筋が酸素不足に陥ります。そのために生ずる胸の痛みが「狭心症の痛み」です。

労作性狭心症

「階段をあがると胸が締め付けられるように痛くなる」「重いものを持上げたり、坂道をあるくと胸が苦しく痛む、静かにしていると楽になる」というときには労作性狭心症を疑います。痛む部位は前胸部、みぞおち、肩、頸などです。歯や喉が痛むこともあります。痛みの続く時間は短く、多くは数分までです。

階段をあがったり、力仕事をしたりするとき(労作)には、心臓から体内に血液をたくさん送り出す必要があり、心筋の働きも増加します。このときに冠動脈に狭窄があると心筋への充分な血液の供給ができなくなります(心筋虚血状態)。こうして起こるのが労作性狭心症です。

安静時狭心症、冠攣縮性狭心症

「夜、就眠中、明け方、胸が苦しく押さえつけられたようになる」という発作があります。これを安静時狭心症といいます。
多くの場合、冠動脈が一過性に痙攣(けいれん)を起こして収縮し、血流を一時的に途絶えさせるために起こる狭心症であり、攣縮性狭心症ともいいます。冠動脈の攣縮もまた、動脈硬化の進行過程にみられる現象といわれています。

不安定狭心症

「狭心症発作が次第に頻回に起こるようになり、労作時ばかりでなく、安静にしていても起こる」というようなときには、不安定狭心症といいます。急性冠症候群ともいいます。

心筋梗塞の前触れです。発作が繰り返し起こっている間に、大きな発作にいたらない前に心筋梗塞ができ上がってしまう(心筋が壊死してしまう)こともあります。

微小血管狭心症

「狭心症発作が起こっているのに、冠動脈狭窄はなく、誘発試験をしても冠動脈攣縮は起らない」という場合に疑ってみるのが微小血管狭心症です。

冠動脈には異常がないのに、心筋の小さな細い血管が狭窄して血流配分に支障をきたしているのではないか、と考えられるために微小血管狭心症といわれています。X線血管造影検査では写ってこないような細い血管の病変を想定するので、診断は多くの場合、推定にとどまります。

狭心症の治療

薬物療法

硝酸薬・カルシウム拮抗薬・交感神経ベータ遮断薬が代表的なものです。その他にアスピリンなどの抗血小板薬もよく使われます。つまり、血管の緊張をできるだけ緩め、心臓の負担を減らし、血液を固まりにくくしておくというのが基本です。

カテーテル・インターベンション(PCI)

バルーン(風船)による冠動脈血行再建法をいいます。「風船療法」と説明されたり、PTCA(本来は古典的なバルーン治療を指す)と略語で呼ばれたりすることもありますが、一括して「コロナリー・インターベンション」と総称されています。

バイパス手術

冠動脈バイパス術は、狭心症に対する薬物療法が無効で、 カテーテルによる治療も困難または不可能な場合に行います。冠動脈の狭い部分には手をつけず、身体の他の部分の血管を使って狭窄部分の前と後ろをつなぐ別の通路(バイパス)を作成して、狭窄部を通らずに心筋に血液が流れる道をつくります。

バイパスに用いる血管(グラフト)には、足の静脈(大伏在静脈)、胸の中で心臓の近くにある左右内胸動脈、胃のそばにある右胃大網動脈などを使います。

不整脈

不整脈 脈拍は通常60~100回/分の頻度で規則正しく拍動しているがこれが急に早くなったり、遅くなったり不規則になることを不整脈と言う。
胸がドキドキする(動悸)、急に胸がドキンとする、なんとなく胸がおかしいなどの症状を伴い、ひどいときには意識を失うこともあります。
不整脈によっては症状があまりでないままに悪化し、脳梗塞をおこしてはじめて気づくこともあります。

症状が出た場合には早めにご相談ください。

心不全

心肥大、心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症などが原因で心臓の動きが低下し、体に十分な血液が送れなくなった状態。

初期の症状は動いたときに動悸がしたり、足がむくんだり、息苦しくなったりといった症状がでます。悪化すると夜間に突然息ができなくなったり、突然死の原因になったりします。生活習慣の改善やリハビリ、薬物コントロール等にて治療を行います。

高血圧とは

血圧の数値が慢性的に高い状態にあると高血圧と診断されます。
そもそも血圧とは、心臓から血液が送られる際に血管壁にかかる圧力のことですが、常時高血圧となってしまうと負荷をかけて血液を送らなければならず、血管壁はその圧に耐えようと硬直するようになります。
そして血管のしなやかさは失われ、やがて動脈硬化を招くようになって、さらに放置すると心筋梗塞、心不全、脳梗塞などの合併症を引き起こすようになります。

なお、高血圧の診断は血圧測定になります。
日本高血圧学会によると、高血圧の診断基準として、外来時測定で収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上としています。ただし1度の測定で基準を上回っただけでは診断が付きません。同じような条件で複数回行い、それでも基準を上回っていることが確認されたら「高血圧」と診断されます。

高血圧の症状について

常に血圧が高いことで起きる自覚症状というのは、ほぼありません。しかし人によっては稀に頭痛、肩こり、倦怠感、めまいなどがみられることがあります。ただし多くの場合、健康診断などで行う血圧測定によって、医師に指摘されて気づくといった方がほとんどです。血圧の高さを指摘されたら、早めに専門の医療機関を受診ください。

高血圧の治療について

高血圧の治療の一番の目的は、心筋梗塞や脳梗塞といった合併症を防ぐことで、そのためには血圧をしっかりコントロールすることが大切です。

具体的には、生活習慣の改善(食事療法、運動療法)が基本になります。
食事療法では、減塩療法(1日6g未満)、栄養バランスの摂れた食生活、目標とする適正カロリーの摂取を心がけるといったことを行います。また運動療法については、きつい運動をすると逆に血圧を上昇させかねないので、息が弾む程度の有酸素運動を行います。
内容としては、ウォーキング、軽いジョギング、サイクリングなどで充分ですが、できる限り毎日行うようにしてください。そのほか、標準体重の維持、睡眠や休養を充分にとる、禁煙・節酒なども実践します。

上記の改善方法だけでは血圧のコントロールが困難であれば、医師の判断によってこれらに併せて降圧薬を用いた薬物療法も行われます。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群 睡眠中に何度も呼吸が停止する、もしくは低呼吸状態にあると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。ちなみに睡眠中の呼吸停止とは1時間あたり10秒以上の呼吸停止が5回以上、低呼吸は1時間あたりにして呼吸が10秒以上、50%以下に低下している場合です。

以下のような症状は睡眠時無呼吸症候群が疑われますので、一度ご相談ください(例)

  • 大きないびきをかいている、もしくはいびきがうるさいとの指摘を受けた
  • 日中に強い眠気に襲われる
  • 熟睡感がない
  • 記憶力が低下している
  • 夜間に何度もトイレに行く
  • 起床時に頭痛がする
  • ED など

睡眠時無呼吸症候群を放置しておくと

睡眠時無呼吸症候群をそのままにしておくと、高血圧、狭心症・心筋梗塞、不整脈、脳卒中、糖尿病など、循環器系関連の病気を発症するリスクが2~3倍以上になると言われています。従いまして、先に述べたような症状に心当たりがあれば、速やかに睡眠時無呼吸症候群の検査をする必要があります。

睡眠時無呼吸症候群の検査について

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、発症の有無を調べるための検査を行います。

なお、当院では簡易型検査装置によるスクリーニング検査を行います。主にご自宅での検査になります。同装置に付いている手の指や鼻の下に付けるセンサーを装着して眠るだけで、いびきや呼吸の状態を確認できます。判定方法も容易なので、診断がつくまでの時間も短くて済みます。

睡眠時無呼吸症候群の治療について

当院では、睡眠時無呼吸症候群であると診断を受けた患者様にはCPAP療法を行います

これは閉塞性睡眠時無呼吸症候群による患者様によく用いられる治療法で、専用の鼻マスクを睡眠時に装着するとマスクから気道に向けて一定の圧力をかけた空気を送り込みます。
それによって、閉塞状態にある気道は押し広げられていき、呼吸困難の症状が解消されていくようになります。また鼻呼吸での睡眠になるので、いびきも消失するほか、中途覚醒や熟睡感が乏しいといった悩みも解消されるようになります。

なお、同療法での治療期間中は、体調変化や治療状況などを医師に報告する必要がありますので、定期的に通院をしていただきます。装置に違和感などがある場合は、通院の際にご相談ください。