呼吸器疾患

呼吸器疾患

主に呼吸器(肺、気管支、胸膜 など)に関連する症状や疾患について診療します。

風邪やインフルエンザ、肺炎、扁桃炎、咽頭炎、気管支炎などの急性の呼吸器疾患、また気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といった慢性の呼吸器疾患まで幅広く対応いたします。

風邪のはずなのに随分と咳が長引いている、なかなか痰を切ることができない、少し動いただけでも息が切れてしまう、胸部に痛みがある、などの症状がある場合は、呼吸器関連の疾患が疑われますので、一度当診療科をご受診ください。また、呼吸器に関することで不安があるという方もお気軽にご相談ください。

呼吸器内科の対象となる主な症状

  • 咳や痰が長引く(2週間以上)
  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 鼻づまり
  • 喉の痛み
  • 急な発熱
  • 息切れ
  • ヒューヒュー・ゼーゼーという息苦しさ
  • 胸痛
  • 血痰
  • いびき など

呼吸器内科でよくみられる代表的な疾患

  • 風邪症候群
  • インフルエンザ
  • 咽頭炎・扁桃炎
  • 気管支炎
  • 気管支拡張症
  • 肺炎
  • 気管支喘息
  • COPD(肺気腫)
  • 肺結核
  • 肺気胸
  • アレルギー性鼻炎(花粉症)
  • 肺がん など

気管支喘息とは

喘息とは喘息発作のことです。
これは気道(呼吸をするための空気の通路)の中の主に気管支の粘膜組織に慢性的に炎症が起きることで同部位が狭まってしまい、空気の流入が制限され、少しの刺激でも過敏に反応するようになって、咳や呼吸困難などが起きている状態を言います。気管支喘息とも呼ばれています。

主な症状は、喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸音)や呼吸困難で、喘息発作時以外は無症状です。このほか咳や痰、息切れ、胸苦しさなどもみられます。

なお炎症を発症する原因につきましては、乳幼児から小児期では、アレルギー反応による発症が9割近くとされ、アレルゲンとしてはダニ、ハウスダスト、カビ、ペットの毛やフケなどが挙げられています。
成人の場合も7割近くがアレルゲンによるアレルギー反応によるものですが、気道感染(風邪やインフルエンザ)、タバコの煙、気象条件、アスピリン喘息などによって発作が誘引されることもあります。

なかなか治まらない咳を発症している場合、いくつかの呼吸器疾患が考えられます。その中で最も可能性が高いと考えられているのが咳喘息です。

この場合は気管支喘息とは異なり、咳だけが続いている状態です。風邪による気道の感染、エアコンを稼働させることで発症するなどアレルギー関連などが原因として考えられますが、放置を続けると気管支喘息に移行することもありますので注意が必要です。

このほかにも長引く咳から考えられる疾患としては、主にタバコとの関連性が強いとされる慢性閉塞性肺疾患(COPD)、結核、マイコプラズマ感染症、間質性肺炎、GERD(胃食道逆流症)、副鼻腔炎(蓄膿症)過敏性肺臓炎といった疾患を発症している可能性があります。
このように咳が長引いている状態というのは、様々な病気を引き起こしていることも考えられますので速やかにご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に呼吸が停止する、もしくは低呼吸になる状態を言います。
具体的には、睡眠中1時間あたりにして10秒以上の呼吸停止、または50%以下の低呼吸状態が計5回以上あって、さらに日中時に眠気が出るなどの症状がある場合に同疾患であると診断されます。

上記の状態が長く続くと、熟睡感を得ることは難しくなり、睡眠時間を充分にとったとしても日中の活動時に眠気が伴うなど、日常生活にも支障をきたすようになります。このほか、家族にいびきを指摘された、夜中に何度も目が覚めるといったことがあれば、SASが疑われます。

以下の症状に心当たりのある方は一度ご受診ください

  • 大きないびきをかいている
  • 日中(活動時)に強い眠気に襲われる
  • 熟睡感がない
  • 記憶力が低下している
  • 夜間に何度もトイレに行く(何度も目が覚める)
  • 起床時に頭痛がする
  • 車を運転中に居眠りをしてしまう
  • 勃起機能不全(ED)など

なお、SASを発症すると血液が固まりやすくなるという特徴があります。このことから、不整脈、高血圧、虚血性心疾患、心筋梗塞、心不全、脳血管障害などの循環器系の病気が併発しやすく、健常者と比べるとこれらの疾患を発症するケースは2~4倍ほど高くなると言われています。このようなリスクを避けるためにも早めに治療が必要です。

SASが疑われる場合は、簡易型検査装置を用いたスクリーニング検査で診断をつけます。検査方法が簡単なのも特徴で、同装置にある手の指や鼻の下に付けるセンサーを付けて眠りにつくだけです。そのためご自宅で行っていただきます。これを用いることで睡眠時の呼吸の状態やいびきの有無などを計測することができるようになります。その後、さらに詳しく検査が必要という場合は、一晩病院施設に入院して睡眠と呼吸の質を調べるとされるポリソムノグラフィーを行います。

SASの治療法でよく用いられるのがCPAP療法です。これは睡眠時に鼻マスクを装着し、そこから閉塞状態となっている上気道へ向けて、加圧しながら空気を送り込むというものです。これによって、常に気道は開いたままになり、鼻呼吸による睡眠も行えるようになり、呼吸停止や低呼吸状態、いびきといった症状が改善されるようになります。

COPDとは

日本語では慢性閉塞性肺疾患と呼ばれるCOPDは、有害物質を長期的に吸入していくことで発症する肺の炎症性疾患です。
なお日本では、原因となる有害物質の90%近くがタバコ(喫煙者)によるものです。ちなみに現在は禁煙をしているという方でも過去の喫煙習慣が影響して肺機能が低下することもあります。そのほかには、大気汚染や化学物質を吸引し続けることで発症することもあります。

診断をつけるための検査については、気流閉塞の有無を確認するスパイロメトリー(呼吸機能検査)、胸部X線、胸部CTによる画像検査を行うなどしていきます。

禁煙外来

禁煙外来

禁煙外来では、禁煙をしたいと希望する喫煙者の方を対象にしています。当外来では、医師が治療を始める前にこれまでの喫煙歴や1日にどれだけ吸っているかなどをお聞きします。患者様の現状をしっかりと把握してから、禁煙補助薬を処方していきます。

治療開始後については、禁煙補助薬による効果や身体の状態等を確認する必要があるので、定期的に通院をしていただきます。その際は経過観察をするだけでなく、医師が生活指導を含めたアドバイスを行っていきます。

保険適用について

禁煙治療につきましては、ある一定の条件が満たされていると保険が適用されます。その条件をクリアしているか否かは、初回診察時に医師が確認します。対象となる条件は、以下の通りです。条件を満たさなかったとしても保険対象外と判定されるだけで、自費診療(全額自己負担)となりますが同様の治療が受けられます。

  • ニコチン依存症を診断するテスト(TDS:Tobacco Dependence Screener)で5点以上
  • 35歳以上の方でブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上(例えば、25歳から1日15本喫煙している45歳の人なら、15(本)×20(年)=300であり、対象となります)
  • すぐに禁煙したいと考えていること
  • 医師から受けた禁煙治療の説明に同意し、説明内容に納得された時は、文書で同意(サイン等)すること

治療について

治療で用いられる禁煙補助薬は、主に2種類あります。

ひとつは体に貼る湿布薬のような貼り薬によってニコチンを少量摂取し、経口による喫煙を減少させていく禁煙パッチです。体内で吸収される量というのは個人差ありますが、禁煙時に感じるとされるイライラ感や落ち着かないなどの症状を緩和させるようになります。これを約8週間行うことで禁煙に導くようにするというアイテムですが、同じ位置に貼り続けていくと皮膚がかぶれてしまうこともあるので、毎日違う位置に貼るなどして予防対策をしてください。

もうひとつは、ニコチンを含まないバレニクリン酒石酸塩錠(チャンピックス)という内服薬です。これはドーパミンを少量放出させていくことでニコチン切れによるイライラ感を軽減させるほか、タバコを吸ってもおいしく感じさせなくなくなるという効果が期待できるというものです。飲み始めの1週間は喫煙しながら服用し、8日目から禁煙を開始します(8日目より前の禁煙も可能です)。これを計12週間服用していきます。なお、服用による副作用として、吐き気、不眠症、頭痛などの症状が報告されています。これらの症状があれば、使用を止め、医師へご相談ください。また、うつ病を発症している患者様が服用すると症状を悪化させることが考えられますので、その場合は処方いたしません。